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四肢切断を望む人々 ― 身体完全同一性障害とは(2)

biid2-2.jpgABCNews/etc】カールには両脚がない。しかしそれは、事故や病気による切断でも、先天的な欠损によるものでもない。彼は自ら望んで、両脚を失ったのである。 ― 今から6年前、カールは驻车场に止めた车の中で、ひとりドライアイスを见つめていた。「最初におが屑と粒状にしたドライアイスを混ぜて、バケツに入れました。バケツは炭酸ガスで満たされて、零下79度まで低下しました。」それから凡そ45分间、カールは両脚を冷え切ったバケツの中に浸し、更にバケツが一杯になるまでドライアイスを注いだ。「それから更に6时间、上からドライアイスを注ぎながら足を冷やし続けたんです。」大学で化学を専攻していたカールにとって、これら手顺を调べることは简単なことだった。

「どのくらいの温度でどれくらいの时间冷やせば、足を冻らせることが出来るか、はじめに念入りに调査しました。6时间も冷やせば、完全に足を冻らせることが出来ると分かっていたんです。」

そして6时间に及ぶ冷却を终えると、カールはいとも冷静に、予め车に设置した运転装置を使って救急病院へと车を走らせた。そして入院から数日后、カールの足は"期待通り"壊死し、もはや选択肢のない医师の手によって、その足を切断されたのである。

しかし现在、カールのような特殊な四肢切断者は决して彼一人だけではない。カールのように自分の身体に违和感 ― それは自分が思い描く自分の身体と実际の身体の间に横たわる ― を感じ続け、何とかして身体を矫正したいと愿う人々が少なからず存在するのである。

「私は间违った姿で生まれてきてしまったんです。」そう语るのはもう一人の四肢切断志愿者、リリー(仮名)である。彼女はこれまで二度に渡って足の切断を试みたという。「自分のイメージする身体と、実际の自分の身体が、まったく一致しないんです。」


障害者への憧れ

米コロンビア大学の精神科医、マイケル・ファースト博士は、现在、稀ではあるが确かに存在する、これら切断愿望を持った人々について研究を行う数少ない科学者である。博士によれば、これら一连の症状は现在、身体完全同一性障害(Body Integrity Identity Disorder、 以下BIID)と呼ばれているという。

missdevotee.jpg「彼ら切断愿望を持った人々は、アンプティー(四肢切断者※)のことをあたかも”障害に打ち胜った强い人”として、憧れの眼差しで见るんです。」しかしファースト博士によれば、彼ら四肢切断愿望を抱えた人々は、その奇妙な妄想を别として、他に何ら精神面に问题を抱えていないという。

「何よりも惊くべきなのは、それら四肢切断愿望を持った人々の多くが、普段はまるで普通の人々であるために、例え面と向かって话したとしても、全く気がつかないということです。また彼等がハンディキャップを持った人々に憧れを抱くのは、常に幼少时代に始まっているんです。」

ファースト博士の语る通り、カールの场合もまた、障害者に憧れを抱いたのは5歳か6歳の顷だったと话している。幼い顷、カールの家庭はポリオによって障害を患った隣人をかくまうことがあり、その时にはじめてアンプティーを见たのだという。

「ちょうどマンガで见るように、私の头の上で电球がパチンと光ったような感じがしました。そしてまず、彼等に嫉妬を感じたんです。でもそのことで别に自分がおかしいとは思いませんでしたね。」

※一般に切断者をアンプティー(Amputee)、志愿者をワナビー(Wannabe)、爱好家をディヴォーティー(Devotee)と呼ぶ。写真はディヴォーティーの间で絶大な人気を夸るミス・アンプティーこと、 - ジェニファー・クラム。彼女はアンプティーのモデルとして、プレイボーイなどにも登场している。


"合理的な"切断

生物医学技术者であるダン(仮名)は现在、フランスはアルプスの小村で暮らしている。そして彼もまた、カールやリリーと同じような妄想を抱き続ける、四肢切断愿望を持つひとりである。ダンは、スキーやハイキングをこよなく爱し、今のところ身体には何の支障もない。しかしそれでも尚、彼はしばしドライアイスとチェーンソーで両足を切断することを妄想し、その冲动を抑えるために、时にアンプティーになった振りをして何とか心を落ち着けるのである。「実际のところ、义足になったらどのくらい大変なんだろうか?」例えば彼は、运动している最中にさえ、そうした妄想を抱くのだという。

「もし私が両足を切断することを决定したとしても、それは极めて”合理的な”行为だと思っています。确かに足を切断することで、私はハンディキャップを负うことになりますし、苦労もするでしょう。しかし、私は既にBIIDであり、それ自体がハンディキャップで、苦しんでいるんです。つまり、どっちを取るかという问题に过ぎません。」

现在、ほとんどの医师は、健康な人の四肢を切除することを非伦理的なことであると考え、それら施术を行うことはない。しかしまた、彼等の望みを叶える医师もまた、仅かに存在しているのである。例えば事実、昨年、ダンはいよいよ自らの愿望を抑止することが出来なくなり、両脚切断を行ってくれるというフィリピンの医师を探し当てた。その医师は脚一本あたり、$10,000(约120万円)で切除するとダンに约束したという。しかし结局、ダンはその马鹿げた値段と、医师による术后のケアに疑问を持ち、”不幸にも”脚を切断することは谛めたのである。

lily_biid.jpgそしてまたリリー(写真)も、昨年、ついに脚を切断することを决心した。丁度カールが行ったようにドライアイスで脚を冷やし、医师に治疗の选択肢を与えず、そのまま切断してもらおうと考えたのである。「いまはもうくるぶしがありません。脚はずっと肿れ上がったままなんです。」しかし彼女は、脚の冷却の痛みに耐えられず、途中で挫折したのだ。

彼女の场合もまた、ダンやカールと同じように四肢切断への执着は幼少期にはじまったという。「いつもアンプティーの真似をして游んでいました。そう考える自分は正常だと思っていました。とても気分が良かったんです。」そう语る彼女はまた、自分の脚がどのような长さであるべきか、极めて正确なイメージを持っている。右脚が左脚よりも2cm长くありたい、そう感じているのである。

しかし彼女は长い间、胸の奥に秘められたその欲求を谁にも言わずに隠し続けてきたという。数年前、彼女は普通に结婚し、フランスの地中海沿岸の小村で新たな生活をはじめた。しかしそんな幸せな结婚生活のさなかにあってさえ、彼女はいよいよ长年の愿望をもはや抑え続けることが出来なくなったのである。

「兆候はありました。时折、彼女は理解できないことをするようになったんです。例えば夜、特に一人でいるときに、自分の脚を缚り上げてしまうんです。」リリーの夫、ジョージは语る。

そして彼女はある日、ついにその冲动を抑えきれなくなり、かかりつけの医师に悩みを打ち明けた。しかし医师は”もし本気でやるつもりならば、あなたを精神病院に送らなければならない”、と彼女に告げたのである。そしてついに、彼女は夫に、隠し続けてきた自分の愿望を打ち明けた。当初、ジョージがショックを受けたのは言うまでもない、しかし最后には、彼女の愿望を认め、彼女に施术をしてくれる医师を探すことに、协力する决意をしたのである。


絶望、后悔

1990年代后半、スコットランドの医师、ロバート・スミス氏はこうした四肢切断愿望を持つ患者二人の脚を切断し、それが発覚したことで医学会に大论争を巻き起こした。その中で、スミス氏は四肢切断によって患者が救われることを次のように主张した。「放っておいた场合、彼等が自分自身で切除してしまうことだって考えられるんです。例えば鉄道の上に脚を置いて列车で脚を切断するかもしれませんし、脚にむけてショットガンをぶっ放すことことさえあるかもしれません。彼等はそのくらい絶望的になっているんです。」

そしてその通り、リリーは今、まだに絶望の底にある。スミス医师の名を知ったリリーは、ジョージと共にスコットランドを访れ、スミス医师の働く病院の侧で、脚をドライアイスに浸した。しかしリリーは冷却の痛みに耐えられず、途中で脚をバケツから引き抜いてしまったのである。そして彼女は病院に运ばれ、脚が重度の损伤を受けていることを告げられた。しかし皮肉にも、それは切断する必要のないレベルだったのである。こうしてリリーはただ脚に苦しみだけを抱え、しかしアンプティーとなることはなかった。しかしそれでも尚、リリーはまだアンプティーになることを谛めていないという。

そして夫のジョージもまた、彼女を”助け”続けることを约束している。「これは普通のことではありません。本当に难しいことなんです。しかし彼女の身体は彼女のもので、彼女はそれを切断したがっているんです。もちろん私は彼女に一生脚があって欲しいと思いますし、他の谁にも、こんなことをして欲しくありません。」

彼等三人 ― リリー、ダン、そしてカール ― は、今、インターネットを通じ频繁にチャットで话す仲であるという。その中で唯一、実际の切断者となったカールは、望み通り両脚を失った后も、更なる切断への愿望を満たすことが出来ず、今度は左手を切断したいという冲动に駆られた。しかし结局、カールは彻底したセラピーと抗郁治疗を受け、その望みを辛うじて回避したのである。

そして现在、车椅子に乗って生活しているカールは、今になってようやく、四肢切断を后悔する兆しがあることを、正直に告白している。例えばそれは、车椅子では决して出来ないこと― 例えばビーチで砂浜を踏むといった ― に気づいたときである。

「(后悔を感じるのは)本当にちょっとした、些细なことなんです。でもそんなとき、自分はそれまで一体何を考えていたんだろうと、思うことがあるんです。」


【参考】Armless Amputees - a photoset on Flickr
- Flickr: Crutches, Wheelchairs and Canes
- Flickr: Photos from chelsealover
- Flickr: Photos from normmm99
- Stumps for Free - Complete free amputee pictures

※アンプティー等の画像。これらは主として爱好家(devotee)の为のサイト。通用には男性ディヴォーティーによる女性アンプティーの写真を扱うサイトが目立つが、女性ディヴォーティーの为の男性アンプティー・フェチサイトも少なからず存在する。※他BIIDの参考リンクは下记関连へ

【関连】X51.ORG : 四肢切断を热望する人々 - 身体完全同一性障害とは
- X51.ORG : 头盖穿孔 - 「トレパネーション」は第三の眼を开くか
- X51.ORG : ボディ・サスペンション - 身体を吊り上げる快楽

- X51.ANIMA : 腕の欠损 / X51.ANIMA : 欠损の奇形

Posted by : X51 | 2006年04月10日 09:33
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身体完全同一性障害-Body Integrity Identity Disord

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