プロゲステロン

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プロゲステロン

IUPAC名 pregn-4-ene-3,20-dione
别名 黄体ホルモン
4-pregnene-3,20-dione
プロジェステロン
分子式 C21H30O2
分子量 314.47 g/mol
CAS登録番号 [57-83-0]
融点 126 °C

プロゲステロンprogesterone)とは、ステロイドホルモンの一种。一般に黄体ホルモンプロゲストーゲン(progestogen)の働きをもっている物质として代表的である。

目次

[编集] 生成

成人女性では、卵巣黄体から分泌されるが、妊娠时には、妊娠中期以降になると、胎盘からも分泌される。

生体内で黄体ホルモンとして働いている物质のほとんどがプロゲステロンである。黄体ホルモンの主な働きは、女性の体、特に子宫を妊娠の准备をするように変化させ、月経周期を决めて、もし妊娠が起こった场合には、出産までの间、妊娠を维持させる役目を果たすことなどである。

人工的に合成された、黄体ホルモン作用を持つホルモン类似物质を治疗目的で投与する场合があるが、これらの黄体ホルモン类似物质はプロゲスチン (progestin)またはプロゲストーゲン (progestogen) と総称される。プロゲステロンは锭剤として経口投与されると肠管からの吸収后、肝臓にて大部分が急速に代谢されてしまい、ほとんど効果をもたらさないため、多くの场合プロゲスチンが用いられてきた。その一方で、近年では経膣座薬などの特殊な投与法を使い、プロゲステロンそのものを使用する试みもなされている。

[编集] 分泌

プロゲステロンは、卵巣の黄体で合成される。 また、卵巣を除去した乳牛の血液中にもプロゲステロンは含まれる。これは、副肾皮质からもプロゲステロンが微量ではあるが分泌されているからである。代谢作用に必要不可欠な物なのである。

[编集] 作用

プロゲステロンは血中から细胞に入ると、细胞内に存在するプロゲステロン受容体タンパク质に结合して复合体を形成する。この复合体は核内のDNAの特定の部分に结合することで、多くの遗伝子の発现を変化させる。この机构により、子宫内膜子宫筋の働きを调整したり、乳腺の発达や体温上升などに関る。血糖値を正常にして、体脂肪を减少したり、利尿作用もある他に、他のホルモンのバランスを调整する役目をもつ。

[编集] サプリメントとしてのプロゲステロン

特に米国においては、プロゲステロンを配合したクリームが多数発売され、サプリメントとしての一大市场となっている。エストロゲンを投与されている际の过剰な子宫内膜の肥厚を抑制したり、骨粗松症更年期症状、生理不顺や生理前后の肉体的、精神的不调の缓和などに効果があるとされている[1][2]。日本国内においてもこれらを输入贩売している业者が存在する。しかしこのような市贩のプロゲステロンクリームに関しては、科学的根拠に乏しいという批判がある。

前述のようにプロゲステロンは通常の経口投与などでは代谢分解されやすく、医疗现场ではめったに使用されることはなかった。プロゲステロンクリームのメーカーや、これを推奨する一部の医师は、クリームを肌に涂布することがこの问题点を克服する方法であると主张する。涂布后の血中プロゲステロン浓度の上升であるが、実际に2-5 ng/ml程度の血清浓度の増加があるという报告がある[3][4]。しかしながら、プロゲステロンは健康な女性の生理周期のピーク时で30-45 ng/ml、妊娠中にはさらに大量の分泌がなされるものであり、クリームによるプロゲステロンの补充が、メーカーによって宣伝される更年期、生理前后の不调の缓和には不十分ではないかと悬念されている。また多数のメーカーが生産しており、医薬品のホルモン制剤に比べてFDAの监视も缓やかとなるため、质量やホルモンの含有量に必ずしも信頼が置けないという问题もある。

その一方で、评価法によっては(赤血球を含むサンプルを测定し、数日间分のプロゲステロンの血中浓度の変化を积分する)、医师の処方笺が必要なプロゲステロン锭剤に匹敌する値が得られるとして、このようなホルモン剤を一般の人が自由に购入できる状况に悬念を示す研究者もいる[5]

この问题に関して、クリームの使用を荐める医师、メーカーなどは、

  1. クリーム涂布后に吸収されたプロゲステロンは赤血球の膜に结合するため、これまでの血清を用いた検査法では见逃されてきた
  2. クリーム涂布后の唾液検査では高いプロゲステロン浓度が検出され、こちらを真の値として用いるべきだ

と反论してきた[6]

1.に関する検讨であるが、実际に赤血球からの検出を试みた研究でもプロゲステロンはわずかしか検出されなかった[7]

2.に関して、クリーム涂布后の唾液による検査値は、健康な黄体期の女性の数倍にもなる高値を示し、むしろ高すぎて不自然である。また唾液による高値が検出される间、血清のみならず、尿へのプロゲステロン分解物の排出も少ないことから、唾液による高値はリンパ管経由の局所的な输送と排出の结果であり、やはりプロゲステロンはクリームからは多くは吸収されないことが示唆される[8]

実际の治疗効果に関しては、前述のように多様な効果が主张されているものの、客観的な検讨が加えられたことは少ない。闭経后の女性に涂布し、血管调节、血中の脂质、骨代谢、心理的影响に関して诊断した报告では、変化が无いという结果が示されている[9][10]。骨粗松症に対する効果が主张されることを受けて、Leonettiらは闭経后の女性达を被験者として検讨を行ったが、1年にわたるプロゲステロンクリームの使用においても骨密度には変化をもたらさなかった[11]。また、Leeをはじめとする、热心な推荐者达が、自ら査読されるような学会志に治疗効果に関して论文を発表したことはないことにも留意すべきである。

一方で、肯定的なデータも一部の症状に対してながら存在する。前述のLeonettiらは同时にほてりには効果があったと报告しており、さらに后日子宫内膜の肥厚が軽减されたとも报告している[12]。しかしこれらはいずれも、同様の试験に别の研究者は成功していないこと[13]や、エストロゲン制剤との并用であることなどに注意が必要である。

以上のように、市贩のプロゲステロンクリームの薬理作用、治疗効果は现状では立证されていない点が多く、特にメーカー侧の説明は夸大ともいえる状况にある。実际に2007年10月には、米国连邦取引委员会(FTC)は、プロゲステロンクリーム贩売の7社に対し、「骨粗松症の予防および治疗」「子宫内膜がんの予防」「(通常はプロゲステロンの重大な副作用である)乳がんの発症リスクがない/むしろ予防効果がある」の3点に関しては科学的根拠がなく、虚伪広告がなされていると告発している[1][2]

近年、医疗の现场ではプロゲステロンを膣座薬や膣ジェルなどに加工したものが使用されており、一定の効果を上げている[14]が、「自然なプロゲステロンを使用している」いうキーワードで自らの制品を関连付けて宣伝するメーカーも散见される。

现状では、プロゲステロンクリームは医学的根拠に乏しいサプリメントであると言わざるを得ない。

[编集] 関连

[编集] 参考文献

  1. ^ Lee JR: Use of Pro-Gest cream in postmenopausal women. Lancet 352: 905; author reply 906, 1998
  2. ^ Lee JR.(原着), 今村 光一 (翻訳)、医者も知らないホルモン・バランス:中央アート出版. 1997年
  3. ^ Cooper A, Spencer C, Whitehead MI, et al: Systemic absorption of progesterone from Progest cream in postmenopausal women. Lancet 351: 1255-1256, 1998
  4. ^ Burry KA, Patton PE & Hermsmeyer K: Percutaneous absorption of progesterone in postmenopausal women treated with transdermal estrogen. Am J Obstet Gynecol 180: 1504-1511, 1999
  5. ^ Hermann AC, Nafziger AN, Victory J, et al: Over-the-counter progesterone cream produces significant drug exposure compared to a food and drug administration-approved oral progesterone product. J Clin Pharmacol 45: 614-619, 2005
  6. ^ Lee JR: Use of Pro-Gest cream in postmenopausal women. Lancet 352: 905; author reply 906, 1998
  7. ^ Lewis JG, McGill H, Patton VM, et al: Caution on the use of saliva measurements to monitor absorption of progesterone from transdermal creams in postmenopausal women. Maturitas 41: 1-6, 2002
  8. ^ O'Leary P, Feddema P, Chan K, et al: Salivary, but not serum or urinary levels of progesterone are elevated after topical application of progesterone cream to pre-and postmenopausal women. Clin Endocrinol (Oxf) 53: 615-620, 2000
  9. ^ Wren BG, Champion SM, Willetts K, et al: Transdermal progesterone and its effect on vasomotor symptoms, blood lipid levels, bone metabolic markers, moods, and quality of life for postmenopausal women. Menopause 10: 13-18, 2003
  10. ^ Wren BG, McFarland K, Edwards L, et al: Effect of sequential transdermal progesterone cream on endometrium, bleeding pattern, and plasma progesterone and salivary progesterone levels in postmenopausal women. Climacteric 3: 155-160, 2000
  11. ^ Leonetti HB, Longo S & Anasti JN: Transdermal progesterone cream for vasomotor symptoms and postmenopausal bone loss. Obstet Gynecol 94: 225-228, 1999
  12. ^ Leonetti HB, Landes J, Steinberg D, et al: Transdermal progesterone cream as an alternative progestin in hormone therapy. Altern Ther Health Med 11: 36-38, 2005
  13. ^ Vashisht A, Wadsworth F, Carey A, et al: Bleeding profiles and effects on the endometrium for women using a novel combination of transdermal oestradiol and natural progesterone cream as part of a continuous combined hormone replacement regime. Bjog 112: 1402-1406, 2005
  14. ^ Cicinelli E, de Ziegler D, Alfonso R, et al: Endometrial effects, bleeding control, and compliance with a new postmenopausal hormone therapy regimen based on transdermal estradiol gel and every-other-day vaginal progesterone in capsules: a 3-year pilot study. Fertil Steril 83: 1859-1863, 2005